YCA:石垣島に公認ケイビングガイドが誕生
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YCA第一期 八重山ケイビングガイド育成講習会
八重山諸島の各島々に残る自然のままの洞窟(鍾乳洞)を専門の知識と技術で安全にゲストを案内するケイビング(洞窟探検)ツアーガイド。
そのケイビングガイド育成の為の講習会が2021/09/26~11/10の2カ月半に渡り行われました。
八重山ケイビングガイド協会「 YCA 」の定めた厳しい基準と課題をクリアーし見事3人の公認ケイビングガイドが誕生となりました。
今回の受講生は、石垣島で古くからシュノーケルボートツアーや青の洞窟ツアーを営んでおり、ガイド歴も長い「ビックビーチ」のオーナーとスタッフの合計3人、講師は西表島アドベンチャーツアーのオーナーガイド(YCA会長兼ガイドトレーナー)が全工程に渡り受講生を指導します。
YCA【講習会のスケジュール】
公認ガイドを育成する為の講習会である為に、一般の趣味での洞窟探検のスキルと違い、ゲストを引率する観光案内人としてのガイドスキルが講習会の柱になる為に、受講対象者は、八重山(沖縄県)在住のネイチャーガイドの方、もしくはツアーショップオーナー及び将来アドベンチャーツアーショップの独立を視野に入れている方が対象となりました。
すでにネイチャーガイド業界の方である為に、かなり踏み込んだ内容の講習会になるので、合格不合格に関わらず受講すると得られるスキルや情報は大きいです。
講習会は受講生のスケジュール合わせ臨機応変に組み立てます、今回は受講生の希望で1カ月におおよそ2回と言うスケジュールで行われました。
講習会は、受講生のガイド経験やスキルに応じて臨機応変に変わりますの、第二期生は下記のスケジュールにはならない可能性もあります。
YCA【講習内容】
第一回目:座学6H 教養課程
「ケイビングガイドの必要性」と「リスクマネジメント」
現役のガイドさんには、「今更リスクマネジメント?」「ガイドの必要性?」「そんの知ってるけど」と思われる方も多いかも知れませんが、同業者やガイドには聞きずらい内容や、「ツアーは作るもの」「保険に関する情報」や「第4の責任」についてなど、知らない情報も多いので、これからの事業所の運営や在籍ガイドの育成にも大いに役立つ内容が含まれた講座です。
次回までの課題「リスクマネジメントから出題」
①ツアー企画運営に関する内容の作成
②緊急フローチャートの作成
②ファーストエイドキット作成及び記録簿作成など
第二回目:学科/実技6H ロープワーク
「ノット/アンカー/システム」「レスキューワーク」
普段のガイド業務で山や沢など山岳系のガイドやレスキュースキルに精通していない人には、最も難攻不落になるのがこのロープワーク、ケイビングガイド協会基準で選び抜いた、15種類のノットと3種の支点、1種のシステムを基礎から学ぶ講座
「知らないから出来ない」を「知ってる」に変え「知ってる」を「出来る」に変える重要な講座。
これは、いろんな講習会でもよく耳にする事ですが、ロープワークは名前が難しいとか、こんなに沢山覚えることにどんな意味があるのかとか、ツアーで使うことがないのに、なぜ覚えなきゃいけないのかとか、色々な意見を聞きますが
何よりまず重要なのはロープワークは引率ガイドとして、「出来て当たり前のスキル」なのです。
全ての活動に共通する「常い高い安全率」を学ぶ事こそ「ロープワーク」の意味になります
公認検定会の試験項目の中でも点数配分が大きいので、少なくても50%は覚えないといけないし、これが出来ないとレスキュー講座の受講にも影響するので、頭で覚えてから体に刻むを繰り返し叩き込む。
次回までの課題「ロープワークから出題」
①基本ノットの反復練習と習得
第三回目:実技6H フィールドワーク
「洞窟経験を増やす」「ツアー洞窟の作り方」「ツアー洞窟を使用しての質疑応答」
講師がガイドとなりツアー形式でケイビングを行うデモンストレーションと実際の洞窟で行う質疑応答、受講生やショップオーナーがツアーで使用予定の洞窟での安全管理も同時に伝えて行く内容です。
洞窟保護と事故の未然防止の観点から講習に使用する洞窟の場所の明細はあかせませんが、今回は西表島の北部沿岸エリアに残る複数の自然洞窟を利用してのフィールドワークとなりました。
出される課題は「洞窟地図作成」受講生だけで、洞窟を探検し三次元の洞窟空間を把握しながら二次元の紙に落とし込む難攻不落の作業となりますが、地図が上手く書ける事は重要ではなく、記憶のインプットとアウトプットを繰り返す事で、闇の洞窟空間を把握し、洞窟がもたらす精神的な恐怖心を取り除き、安定した精神状態でゲストを引率できるようにするためのスキルアップを行う。
次回までの課題「フィールドワークから出題」
①洞窟地図作成
第四回目:実技6H フィールドワーク
「デモツアー」「洞窟経験を増やす」
実際に一般のゲストを招き、受講生がガイドになりデモツアーを順番に行いますが、全体的な安全対策はガイドトレーナー(指導員)が行っています。
一定レベルが認められると「検定項目/フィールドワーク」の免除となります
今回は、午前中のデモツアーで、引率ガイドの緊張と責任を体験し、緊張がもたらすメンタルの変化を体感する。
午後は、受講生全てが未経験の洞窟へ。講師が受講生を引率し、探検レベルの高い洞窟で、ゲストの緊張やメンタルを体感する。引率者ではなくゲストとしての立場で体感する事で得られる情報を蓄積し「安心を与えるガイディング」とは何かを考える。
次回までの課題「今までの全講習内容から出題」
①検定項目の自主練
第五回目:学科/実技6H SRTベーシック
「シングルロープテクニック」
現在国内で洞窟に特化したSRTシングルロープテクニックを1から講習してくれる場所は数少ない、このスキルを覚えられるだけでもかなりの収穫が得られるほど貴重な門外不出のスキルでもあります、レベル1~2の内容は1ピッチを基本とするユマールのみとなります。
簡単に説明するとロープを自由に登ったり降りたり出来る技術を習得する事なのですが、初めて見るギアも多くケイビングに深く携わっていない人には、かなりハードルが高く感じ流のも事実です。
でもSRTスキルが身につくとアクセスできないフィールドがなくなるほど万能なロープアクセススキルとなります。
この項目は、「達成」「おおむね達成」が通過目安になり「未達成」となってしまうと、公認検定の受験資格が得られないので、かなり重要な講習になるので、受講生も真剣そのもの、今回は受講生の安全に配慮する為もあり、
次回までの課題「今までの全講習内容から出題」
①検定項目の自主練
第六回目:公認ガイドレベル2検定会 6H
学科、実技、総合、
検定内容は、今後受講する様々な方達のネタバレになると受講生の成長にもつながりませんので、詳しくは書けませんが、大きなプレッシャーとストレスの中行う長時間の検定となります。
認定ガイドになるには「上級者」になる事、それを見極める「総合」
「安定した環境の中でのみ一定レベルの思考とスキルが出せる人は中級者」
「不安定な環境の中でも一定レベルの思考とスキルが出せる人こそ上級者」
石垣島に公認ケイビングガイド誕生
今回誕生したケイビングガイド達が今後の石垣島のケイビングツアーの文化を築いて行く事でしょう、現在一般旅行者や島の島民の皆さんの意識の中にあるマングローブの森や珊瑚の海の環境保護意識が洞窟や鍾乳洞にも広がる事を期待したい。
洞窟にまつわる環境保全のためにはまず洞窟やケイビングを「知る事」から始まります。
夏に依存しない観光資源
沖縄と言えば夏、それは今後も変わることがないでしょう、でも海に入れない寒い季節や時化の時にでも、地上の影響を受けることの少ないケイビングは全天候型のアクティビティーこそケイビング、しかも手付かずの洞窟が沢山眠っているのが沖縄県でもあるんです。
夏への依存が減り様々なアドベンチャー体験が提供できる地域に発展すれば、冬にでも人が呼べるアドベンチャーアクティビティーの島になるのである、いつの日か「沖縄は冬がでも面白いよ~」とみんなが呟くようになって欲しいものである